何が何やらワケワカメ

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伝説新生。クウガの「生々しさ」に触れる第1巻。

漫画版仮面ライダークウガの第1巻についての感想、考察記事です。
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収録されているのは以下の5話。
【episode1 復活】
【episode2 邂逅】 
【episode3 暗闇】 
【episode4 契約】
【episode5 表明】

  • 前書き。

漫画版の発売、嬉しい限りです。このような形でクウガに再会するとは予想だにしませんでした。荒川稔久さんが執筆したクウガの小説版も2013年に発売され注目を集めました。では今回の漫画版において、注目するべき点はこの二人になるかと思います。
企画:白倉伸一郎  脚本:井上敏樹 
新生クウガを掲げるには適格な人選だと思います。ただ復刻するのではなく、現代性を取り入れた新たなクウガを呈示してくれるはずです。

では、感想と考察を述べます。

  • キャラクターについて。

"五代雄介"
第一印象は、五代の容姿に違和感を感じた。何かチャラいぞ、と。しかし、この変更点は大した問題ではない。

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タンポポの種みたいに世界中を飛び回って、全人類71億人と友達になるのが夢なんで」五代の台詞。
皆の笑顔を守るという大義名分のもと戦い続けたTVドラマ版の五代、その点は漫画版も共通する。異なる点は、人物像がやや未熟で滑稽に描かれていること。上記での台詞から分かる通り、青臭さに拍車が掛かっている。実写ドラマと漫画では、表現方法も異なってくるのだろう。敢えて極端に「純粋さ」を強調したのかも知れない。

気になった場面。
強盗を逃がし、挙げ句に五代がその罪を自ら被ったことについて。

これは明らかに「正義」から逸脱した行為である。井上敏樹流解釈では「五代の行為はエゴ、自己満足に過ぎないんだ」と言っているように受け取れるのでは?己の素直な気持ちに従っている五代は、自分が「正しい」と思ったからあのような行動を取ったのだろう。それが世間一般の定める「正しくない」行動だとしても。

"一条薫"

生真面目さが誇張されており、そして彼の生活感や価値観が垣間見れる為、人物像が詳細に描かれている。紅茶を愛飲している、禁酒、法を遵守する姿勢…一条のプライベートな一面が露わになっていた。

漫画版での彼は、法に絶対的な信頼を寄せている。だが、法の"通用しない"未知なる存在の出現に恐怖する。その姿は一条の人間味が滲み出ていた。何故なら、彼の物怖じする姿を今まで見たことが無かったからだ。
「俺自身を救うためにも………!」一条の台詞。
危険を顧みない行動はTVドラマ版と変わらず。しかし、同時に自分の弱さに向き合う様子も伺えた。この要素は漫画版ならでは、だと言える。

  • 最後に。 

率直な感想としては、改変された箇所はありつつも割と保守的な内容になっていたと思います。「新生クウガ」ということで、私が目を皿のようにして読んだことも原因だとは思いますが、TVドラマ版の内容を丁寧に踏襲した物語が展開していました。長野、遺跡発掘、グロンギの目覚め、虐殺、不思議なビジョンに導かれる、教会…と、この流れは【episode1、2】を彷彿とさせます。  

また過激な描写が随所に見られます。これはコミカライズ版の利点ではないでしょうか、地上波の番組よりも表現規制が少ないはず(読者の対象年齢を高くしている為)なので。グロンギのゲゲルが、より残忍極まりない方法に向かうのかが楽しみです。

クウガグロンギのビジュアルは、より生物的でおどろおどろしい複雑な形状になっていました。フィギュアの「S.I.C.シリーズ」に近い雰囲気だと思います。(漫画ではまだ"白"ですが。)
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第1巻ではまだ物語の進展は乏しく、キャラクター達の紹介や世界観を固めていく段階でした。しかし、第2巻からは漫画版ならではの独自路線になるので今後注目です。Kindle(電子書籍)版も発売されているので、是非気軽に購入してみては如何でしょうか。

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