怒りの業火、その先に潜む「究極の闇」…な第35話。
「仮面ライダークウガ」感想。
【episode35 愛憎】脚本:荒川稔久
- 「愛」と「憎」。
人間同士、手と手を取り合う。
グロンギと人間、拳を交える。
子供達は分かり合うことができた、クウガ達は殺し合うことしかできない。両者の場面は、対比関係になっていたんですね。
- 相容れぬ存在。
「大丈夫、分かり合えるよ…だって人間同士なんだから…絶対大丈夫!」五代の台詞。
子供達(人間)に希望を見出だしている反面、グロンギとは対立せざるを得ない。そんな五代の胸中が明かされた台詞でした。
「奴らは我々と同じ姿を持ち、今では我々の言葉を話すようになった。それなのに奴らは我々の感情を無視して殺戮を続けている…価値観の違いは決定的だ」一条の台詞。
五代と一条の台詞により、グロンギは決して人間に歩み寄りはしないことが明確になりました。
皆の笑顔を守る為に戦い続ける五代、殺戮に快楽を感じる「ゴ・ジャラジ・ダ」。まさに水と油、理解し合えるはずもありません。被害が甚大となり、徐々に五代の表情は険しくなっていく。普段の陽気な様子とは異なり、怒りを募らせている様子がヒシヒシと伝わってくる。
- 芽生えし闇。
一心不乱に拳をぶつけ大剣を振るうクウガの様は、狂気に満ちていた。また五代の叫びは、怒りや哀しみ、憎悪、殺意、と様々な感情が入り乱れたものであった。ジャラジとの戦闘は明らかに以前までとは異質。負の感情に捕られて怒り狂う姿は、禍々しく恐ろしかった。
戦いの末、「究極の闇」の姿が。
- 最後に。
今回の話は、何かスッキリせず後味の悪いものでした(当然面白いのですが)。
ジャラジは残忍極まりない敵で、倒されて当然、と思える相手だったのにも関わらず、勝利しても何か虚しい。そう感じた視聴者は私だけではないと思います。
グロンギと同様に、危険な存在であるクウガ。にも関わらず我々が応援するのは、五代の優しさや温かみに魅了されているからだと思います。しかし、今回の戦いではその要素が失われていた。五代の心境の揺らぎに、視聴者もまた動揺していたのかも知れません。
本編終了後、画面が真っ黒に。アルティメットフォームの登場も近い…(嘘)。