「復活のF」のベストな楽しみ方とは。(簡易考察)
評価は賛否両論、非常に好みの別れる作品であったと思います。超人気キャラクター「悪の帝王 フリーザ」が蘇るということもあり、ファンの期待が強かったことが観客各々の評価が割れる事態になった要因だと考えています。
では今回は、私なりの「復活のF」の楽しみ方をお伝えしたいと思います。
今作品を楽しむ上で重要視するポイント、それは…
アニメーションを楽しむこと
です。 凄く当たり前のことを声を大にして主張していますが、これが楽しむ上でとても大切なことだと見返している内に気付きました。監督、作画監督、絵コンテを兼任された「山室直儀」さんの狙いは何だったのか、このことも考えてみたいと思います。
- 山室さんの思惑とは。
「復活のF」での山室さんの思惑は非常にはっきりしています。それは様々な媒体でのインタビューで明確に示されています。
「……これまでのアクションはただ殴ったり、蹴ったりしているという感じがぬぐえませんでした。自分が演出するうえで、それだけはやりたくなかった。作画監督の時にやりたくてもできなかったので。パンチや蹴りを繰り出すときも、腕の振りや脚の出し方なども、注意して作っています。……」(出典: ドラゴンボールZ 復活のF新聞。山室さんのコメントを一部抜粋。 )
はっきりと、従来のバトルとは異なるバトルシーンを描きたかった、と明言されています。初監督作品である「復活のF」では、山室さんの気概が全面に表れていました。この山室さんのこだわりを感じ取ることで、今作をより楽しむことが出来ると思います。
今までのドラゴンボールのバトルではあまり見られなかった演出を、4点挙げていきたいと思います。
【演出その1 主観ショット】
前作「神と神」と同様に、IMAX上映や3D上映を意識しているからこそ生まれた演出だと思います。
観客がウイスの視点になって、悟空の攻撃を受けているような演出がなされています。ゲームではガンシューティングでお馴染みの手法ですね。
【演出その2 立体的】
3DCGでキャラクターを造形できるようになった現代の技術だからこそ、今作で多用された演出です。
フリーザ達の戦闘を360度捉えるカメラワークが印象的でした。一挙手一投足、彼らの攻防が様々な角度から描かれています。
【演出その3 戦闘スタイル】
「…たとえばウイスの構えは、ブルース・リーの師匠が使う詠春拳の構えだったりとか。……」(出典:ドラゴンボールZ 復活のFパンフレット。山室さんのコメント一部抜粋。)
ウイスの戦闘スタイルは、徹底的に攻撃を受け流してパワーを無力化し、隙あらば手刀や衝撃波を繰り出すというものです。DB独特の「パンチの応酬」とは異質な戦闘スタイルです。
山室さんがウイスに用いた「詠春拳」。どういった武術かというと、
詠春拳(えいしゅんけん、咏春拳)は、広東省を中心に伝承されていた徒手武術を主とする中国武術。少林武術を祖とし、一般的には短橋(腕を短く使い)狭馬(歩幅が狭い)の拳法とされており、200年から300年の歴史があると考えられている。拳術を中心技術として刀術と棍術とを含むが、伝承された型によると、むしろ刀術を基礎として、それを徒手拳術に応用した部分も多く見受けられる。(出典:Wikipedia 「詠春拳」の項目。一部抜粋。)
その他にジャコの戦闘スタイルは、逃げたり、泳いだり、拳銃を駆使したり…と、Z戦士達と異なり個性的な戦法でした。
各キャラクター毎、戦闘スタイルに個性を出す試みが「復活のF」で感じられました。
【演出その4 多人数バトル】
「Z戦士VS.1000人フリーザ軍」の戦いは、映画のCMで大々的に宣伝していました。それだけ目玉な要素であり、ここまでの多人数バトルは従来のDBには無かったシチュエーションです。悟飯やピッコロ達の見せ場が用意されたのも良かったですし、単純にあの「圧倒的物量差」は圧巻の画でした。映画館のスクリーンで観たときは本当に感動しました。
- まとめ
結論として「復活のF」の楽しみ方は、アニメーションの1つ1つの動きに注目することです。山室さんの新しい試みが随所に散りばめられていることから、従来の戦闘演出との差異に注視することが今作を最大限に楽しむ要素だと思います。
またびっくりするほど、ずっと戦っているんですよね。50/90分くらい。キャラが動き回っているので画的にも飽きがなく本編を楽しめます。
なので未見の方は、上記のことをまず「第一」に意識して観賞してみてください!! シナリオやキャラクターの扱いなどは「第二」に考えてみる、そのような見方を私はオススメします。
本編の内容の考察についても、いずれ書きたいと思います。