「神と神」考察。第1回【ビルス編】
「劇場版ドラゴンボールZ 神と神」
「ドラゴンボール超 神と神編」
上記の作品では両者ともに「スーパーサイヤ人ゴッド」を巡って物語が動き出します。大まかな話の流れは変わりませんが、同じ場面でも僅かに描写の差異がありました。両作品を見ることで、更に個々のキャラクター像が詳細に浮かび上がってきます。
今回「破壊神ビルス」「ウイス」「孫悟空」の劇中での描写に注目し、両作品を通して彼らの魅力を浮き彫りにしたいと思います。更に、今回初めて全面的にアニメーション制作に関わった原作者の「鳥山明」さんにも触れて考えてみたいと思っています。
第1回は【破壊神ビルス編】です。
- 今までの敵にはない個性
ビルスの特徴として「破壊神」であることが挙げられます。「界王神」と対をなす存在であり、尚且つ悟空より強い。今後悟空が強さを追い求める際の指標になる稀有な存在であり、今までの劇場版のオリジナルキャラにはない特徴です。鳥山明さんが原案、キャラクターデザイン、脚本に携わっているからこそ設定することができた個性です。
もう1つ特徴として「極悪人ではない敵」であることです。今までの敵キャラクターは殺戮を楽しむ、悪意を振り撒く、虐げる、といった共通する面がありました。魔人ブウ(無邪気)も従来の敵とは異なる面を持ち合わせていますが、純粋さから生まれる狂気が殺戮に快楽をもたらしめているので今までの敵に通じます。
しかし、ビルスの破壊行為は全く異なります。彼の行為は「善」と判断することができるからです。
「この世には、星や生命を生み出す神様もおられる。そしてまた反対に、星や生命を破壊する神様がおられる。創造と破壊…この世界のバランスを保つ為には必要なのじゃ」
北の界王の台詞
映画『DRAGON BALL Z 神と神』予告編 - YouTube
この台詞が指すように、ビルスの破壊行為はこの世にとって必要不可欠なものです。寧ろこの破壊行為を妨害する悟空の方を「悪」としてさえ捉えることできる。
単純な「勧善懲悪」の枠には収まらない、これはビルスならではの特異性だと思います。
- 「劇場版 神と神」
劇場版での彼は、悟空の適性を見極める「師匠」の役割が強かったと思います。
これはピッコロの台詞の「悟空はまるで修業を受けているようだな」にあるように、ビルスは悟空の性格や身体能力、真意を冷静に伺っていました。極めつけは、勝利したのにも関わらず悟空に止めを刺さなかったことが象徴してしています。
最初は自分の強敵になり得る存在かも知れないと思っていた「スーパーサイヤ人ゴッド」、実際に闘うと実力は自分より遥かに劣る相手に過ぎませんでした。当初の彼であれば悟空を殺していたはず。しかし悟空の才能に今後の可能性を見出だし、誰も殺さず地球を去りました。
悟空のキャラクター性に感化され、最終的には悟空の秘めたる能力を引き出すカタチとなった。これは今まで悟空に指導したことのある「亀仙人」「カリン様」「地球の神」「北の界王」と同じです。
ビルスは良き「師匠」としても機能した素晴らしいキャラクターでした。
- 「DB超 神と神編」
「僕はね 眠いんだよ。眠くて眠くて眠くて 眠くて眠くて たまらないんだよー! 」
第11話。悟空を殴りつけながら、怒気のこもった声で台詞を発していました。この場面が指すことは、要は退屈しているということ。あまりにも自分が強すぎて張り合う相手が存在しないことが、彼が常に眠気を抱えている原因です。
この回を見るまでは、ビルスは睡眠時間を多く取らなければならない生物という印象がありました…(^_^;)
またDB超では、素直じゃない行動が目立ちました。
本気で闘っていると嘘をついたことや、力尽きて寝たフリをして地球を破壊しなかったこと、など。これは悟空の実力を更に引き出す為であることや、既に才能を認めているが故に取った行動です。
上記での行動から、自分の本心を悟られないように上手く立ち振舞うことが出来る、器用な一面が伺えました。これも劇場版ではあまり感じなかった要素です。
- まとめ
闘いの発端が「プリンを独り占めされたから」と幼稚な性格である印象や他者の才能を認めて手心を加えるなど、多様な魅力に溢れたキャラクターだと再認識できました。
今後、悟空やべジータが更なる強さを手に入れてビルスのライバルになり得た時
ウイス「ビルス様、最近睡眠時間がめっきり減ったんじゃありません?」
ビルス「うん? ……そうかなぁ?…」
と言った台詞を口にするかもしれませんね。