知人として、公人としての一条薫…な第43話。
「仮面ライダークウガ」感想。
【episode43 現実】脚本:荒川稔久
- 知人として。
普段の堅物っぷりとは一転して、表情が柔らかい。この一条さんのはにかむ姿は、是非とも笹山さんへお届けしたいですね(^^)実加ちゃんも演奏前の緊張が解れたようで、お互いに心休まる一時を過ごす。
【episode2】では父の死に涙していた実加。悲しみに耽っていた彼女だが、周りの大人達に支えられつつ以前の明るさを取り戻していく。そして父の携わっていた研究に自ら参加協力を申し入れる、意欲的にフルートの練習に励むなど、徐々に自立していく過程は成長を感じさせる。
饅頭を半分こしてあんこから食すのが好き、両者共に意外な一面を覗かせます。気が合うのかも?
- 公人として。
刑事ドラマパートへ突入。実加の演奏に乗せて、刑事達と犯人の息もつかせぬ攻防が描かれる。銃撃戦に発展するなど熾烈な様相を呈したが、的確な判断と行動で一条は対象を制圧した。
その様子を目の当たりにした実加。職務を全うする一条の姿に理屈ではなく反射的に恐怖する、"何か怖い"と。彼の笑顔に心癒されて以前より好意的に接することができた。その直後であったからこそ、反動も強く嫌悪感を露にしてしまう。刑事としての一条を拒絶したのだ。
しかし優しく微笑みかける表情も、犯人へ向ける険しい表情も、嘘偽りのない一条薫の姿である。その現実を直視できないまま、実加は東京を後にした。
- 最後に。
■ダグバの圧倒的な存在感におののく五代。身体的なダメージではなく、精神的なダメージでグローイングフォームへ退化してしまう。為す術なく気圧された、これは敗北を喫したも同然ではないか。"究極の闇をもたらす存在"になる決意は、この時点から僅かながらに芽生えていたのかも知れない。
■和気あいあいとする桜子さん達や楽しそうに子供達と触れ合う五代。「今回はハートフルな内容だろう」と高を括って視聴していましたが、何とも切ない幕引きで……。実加ちゃんと一条さんには溝が生じたまま。
実加の屈託のない笑顔が脳裏に浮かぶ。「このかけがえのない笑顔を俺は護りたい」、そう決意を新たにグロンギとの最終局面へ挑む一条であった。
妄想ですが上記のようにお話を綺麗に畳んで"次回の戦いも頑張ろうね"と、前向きな締めにするのが定石ですよね。終盤なんだし…。いずれ未確認生命体を殲滅しても、一条刑事の戦いは終わらない。夕日を見つめる彼の背中は哀愁を漂わせる。
■公式な続編である「小説版 仮面ライダークウガ」では、一条さんと実加ちゃんの新たな関係性が描かれています。【episode43】の顛末を踏まえた上で是非読んでみてください。
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