何が何やらワケワカメ

映像作品(主に特撮やアニメ、ホラー)について書く。

五代雄介は決して"完全無欠のヒーロー"ではない…な第41話。

仮面ライダークウガ」感想。

【episode41 抑制】脚本:荒川稔久

  • 綺麗事を実現させたい。

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奈々「さっきから五代さんの言うてること、綺麗事ばっかりやんか」
五代「そうだよ………でも、だからこそ現実にしたいじゃない。ホントは綺麗事がいいんだもん」
"綺麗事を安易に発言すること"と"綺麗事だと自覚し敢えて発言すること"は、全く異なる。五代雄介という青年は後者の行いに準ずる。

幼い頃に視聴していた私は、この回を見るまで五代のことを"類い稀なる人格者"程度にしか見ていなかった。でもそれは誤り。五代は笑顔を絶やさず明るく強い人間ではあるが、それでもグロンギとの死闘を重ねて心身共に疲弊している。憎しみや怒りに支配されたこともある。彼の強い面ばかりが本編で目立つが、弱い一面も丁寧に描かれていた。そして今回のエピソードでは、自分が綺麗事を口にしていることを自覚している。

五代雄介は聖人君子ではない。あくまでも"理想を目指す青年"であった。私は彼を現代におけるヒーローの完成形だと認識していた。しかし彼は、皆が大切にしたいとする道徳心に向かっている最中であり未熟だ。それを理解した途端に親近感が沸き、五代雄介を更に好きになった。

"拳を交えることは虚しい"、このことを奈々に説いた当人はその後戦いに身を投じた。矛盾を抱えながら、五代は過酷な現実と向き合い理想を追い求める。


  • 鮮血。

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この場面は鮮烈に覚えている。ダグバの気配を辿っていた刹那、「ゴ・ジャーザ・ギ」の放った槍がクウガを貫いた。激痛で息が荒くなり、槍を引き抜く際は肉が軋み血が噴き出る……とにかく描写が生々しい。

【episode18 喪失】のギノガ戦(胞子の毒に侵され痙攣していた五代の姿)やジャーザ戦はとにかくトラウマ。あまりにも怖すぎて当時の私は、ザッピングしながら視聴していました(^_^;)とにかく直視できなかった。「死」の恐怖をまざまざと突きつけてくる感じが。

  • 「剛力」VS.「剛力」

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「ゴ・ジャーザ・ギ俊敏体」から「ゴ・ジャーザ・ギ剛力体」へ。ギノガ変異体やゴオマ強化体とは違い、戦況に応じてフォームチェンジが可能な稀有な存在。

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一進一退の攻防、クウガは「紫の金の力」を解放し『ダブルライジングカラミティタイタン』を炸裂させる!!  

もう……格好良い!!の一言に尽きます。

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戦場は、船上から海中へ。(何かすみません)

ここの戦闘シーンはBGMがなく、淡々と刃を交えている。この静けさが、形勢がどちらに傾くか分からない緊張感を生み出していた。

  • 最後に。

奈々ちゃんは己を律して問題に向き合い、最後は普段と変わらない笑顔を見せた。具体的な描写はありませんが、サムズアップをして微笑んでいるあの彼女を見れば後腐れなく決着がついたことは明白ですね。

五代は綺麗事を為し遂げられなかったが、奈々ちゃんは綺麗事を為し遂げた。それだけで五代は救われたような気がします。

おやっさんも殺意を抱いた経験を明かすなど、ポレポレの面々の人間味に焦点を当てた回でしたね。


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